現代の建築様式

フランク・ロイド・ライト氏は、フランスで活躍した建築家のル・コルビュジエやドイツ出身の建築家ミース・ファン・デル・ローエとともに、近代建築の三大巨匠と呼ばれています。

1867年に生まれ、1959年に92歳で生涯を閉じるまで、有機的建築という建築に対して一貫して取り組んできました。

フランク・ロイド・ライト氏自身の言葉によれば、有機的建築とは、「外からあてがわれた形態に合わせて造られるようなものではなく、その建築が必要とするすべての要素が調和し、内から外へと発展していく建築」のことをいいます。

つまり簡単にいうなら、自然と調和した形と精神を建築で表現するというものです。

有機的建築では、建築は有機体であるとし、自然を建築のモデルと捉え、自然と共存していこうという考え方に基づいています。

この自然との共存という考え方は、もともとの日本の建築に対する考えや日本人の文化と非常に重なっている部分が多く、事実フランク・ロイド・ライト氏は、日本でも有名な建築物を設計しました。

現在では取り壊されたために正面玄関部分が明治村に移築されていますが、帝国ホテルを建築したのも彼です。

また現在は国の重要文化財となっているヨドコウ迎賓館、こちらも国の重要文化財となっている自由学園明日館、電通八星苑は、彼の設計によるものです。

もちろん、アメリカでも多くの代表作を建築しており、美術館や教会、多くの個人住宅や研究所、事務所などを建築しました。

具体的には有機的建築とは、建築物はそれが置かれている環境全体と関連してデザインされ、統一感があるもので、さらに機能とデザインが一致していることとされています。

建築における環境

建築における環境とは、敷地の形状や風の向き、光の方向、近隣の建築物との位置関係や高低差、さらには街全体の印象や地域の風習にまで及びます。

さらに、その建築物に住む人の性格や家族も、建築の環境に含まれます。

つまり、太陽や月、星などの自然の光は自然のままに、そして建築物の周りを吹き抜ける自然の風は自然のままに取り入れた空間を創り出し、かつ機能的に生活できるような住まいを建築するということです。

フランク・ロイド・ライト氏の有名な有機的建築を実現した代表的建築物に、落水荘があります。

これはエドガー・カウフマンの別荘として建築されたもので、滝の真上に建てられ、滝の岩の一部が建物の一部となるように設計されている、まさに自然を生かした建築物となっています。

滝を眺める家ではなく、滝と一体感を感じられるよう滝の真上に建てられたということは、非常に斬新で、衝撃的な建築物でした。

またデザインだけでなく、滝との一体感を得られるということは、安らぎを感じられ、心地よい空間を作り出すことが出来ています。

このことは、落水荘の住人がいかに気持ちよく過ごせるかという点についても配慮されているということでもあり、機能的面も考えられている家となっています。

この有機的建築は、建築が大量生産の商品としてとらえられ、生活や風土に合わせて建築がなされていくという考え方が失われていく中で、環境や自然と人間の共存の復興を考えた建築として注目を浴びている建築となっています。

事実、フランク・ロイド・ライト氏が建築した家は、建築後100年以上経った現在でも大切に住み続けられており、その古さを感じさせない素晴らしいものとなっています。

人間を豊かにしてくれる建築であるうえに、環境との一体を考えられている有機的建築は、エコが注目を浴びている現代には、非常に合致している、今後ますます需要の増えていく建築様式といえるのでしょう。